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映画カラオケ行こ!感想 〜I couldn't look back, 青春は巻き戻せない

ふと思い立ってレイトショーで「カラオケ行こ!」を見てきました。2024年映画初め。

以下ネタバレ含む感想です。

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裏面はカレンダーでした!1月の映画らしくて良い。

 

・カラオケ行こ!が映画化されると聞いた時、「演出過剰なギャグ」か「BLみ強め」のどっちかは盛り込まれそうだなァ〜と勝手ながら思っていたんですよ。だって邦画で稼ごうと思ったらそっちの方がマスがはっきりしてて良いから。(悪口) でもちゃんと脚本・野木亜紀子のヒューマン映画でした!!ものすごい爽やかだった。

・冒頭の狂児asゴウアヤノのバックカットで鶴の紋様が浮き出た白シャツが出てきて若干「アァ…」が心の中から出てきたんですよ。原作ではおまけのところに鶴の紋様が入ってるって書かれてるくらいで見せてないじゃないですか。そんでそれが成田狂児の色気とやらしさ←に繋がってるなぁと思ってたんですけど開始1分で出し惜しみせず見せるのかぁてなったんですよね。でもその後の傘のくだりで聡実くんのお母さんが新しく買ってきた傘の柄が鶴だったのでウワァァァア?!?!!?!ってなりました。エッなりませんでした…?ノギアキコ、ニジソーサク上手すぎんよ…って震えました。

・もう一個ヒェ…ってなったシーンは狂児が「聡実くんは聡いに実やからなぁ」って車中で自分の出生について話すシーンで、原作を読む限り狂児って絶対自分の名前がああだから人の名前を気にするタイプなんだろうなと思ってたのでマジ解釈一致ですありがとうございます、ってなりました。ニジソーサクが(もうやめろ)あとこのシーンで狂児がちゃんと高卒ってわかってよかった(?)トヨタマ高校卒ですよね?(もうやめます)

・プロモーションで名画のパロディポスターたくさん作ってたけど、なんかわやませんせの原作っぽくないんだよな〜って勝手に思ってて、その謎が本編で解けましたね。映画部(しかもビデオデッキ) で過去の名作洋画を見るシーンが結構あるっていう。ブチギレた和田くんが巻き戻しできるやろって怒ってデッキを壊しちゃうシーン、人生は不可逆で戻れない、声変わりするということも避けられないというそれを表しながら、ちゃんと紅の歌詞「I couldn't look back」振り返れない に通ずるところがあるなぁと。いや本当(略)上手い。原作のカラオケ行こ!はものすごく紅の歌詞そのものって感じのストーリーラインだなと思ってたんですけど、映画版もまさしくそうだった。紅は聡実くんから狂児への歌であり、狂児の元から去る聡実くんへの歌でもあり、聡実くんの人生そのものの歌なのかもしれないね……

・音叉の説明をする聡実くんas斎藤潤くん、めちゃ野木ヒロインみあるよね。野木ヒロインだぁ…って思っちゃった。あと狂児は音叉虎柄にしてたり紅を頑なに歌い続けることから野球好きなんですかね?(紅って甲子園の応援曲にめちゃ使われるよね)

・紅の英語歌詞の部分を大阪弁に和訳するシーン、あれは「愛とは与えること」を理解して歌うことの出来なかった合唱コンクール(愛が云々って歌詞でしたよね)との対比で、狂児が紅の歌詞を理解することによる歌唱力向上を意図してると見せかけて最後のカラオケ大会に通じるところがいいですよね。歌詞の意味を理解してたから魂を込めて歌うことができたっていう。

・ももちゃん先生コタキのさっちゃんみがあって良かった 和田くんはぷんすこしてたけど表参道高校合唱部だから大丈夫だよって思った(?)あとは副部長の中川さん(だよね)も良かったです。生理は恥ずかしいことちゃうよ?ってさらりとぶち込む野木節に痺れた。カラオケ選曲もめっちゃ良いですよね〜。lemon出てきて笑ってしまった あとタイムリーなももクロ🤣このあたりのオリキャラの裏話が気になってるのでシナブとビジュブを買いました!読むの楽しみ。

・原作では夏までの話だったと思うんですけど季節を少しずらして秋までにしてたの、服の演出も兼ねてて上手いなと思いました。「天使かなて思った」って狂児が言ってた通り、聡実くんの登場シーンは真っ白なシャツ、狂児と出会ってから秋口までそこにちょっとグレーの混じった(とはいえホワイトな)パーカー、そんで合唱コンクールかつカラオケ大会の日は学ランで「黒」に染まってくんですよね。ヤクザのカラオケ指導シーンでは真っ白で浮いてるくらいの聡実くんが、狂児と出会ってちょっとずつ染まって(屋上のシーンではパーカー)、最後のカラオケ大会では違和感のないトーンの黒い学ランで紅を歌いきるという……。そりゃ狂児も離れた方がいいなと思うわな〜。というかこの映画すごくいい塩梅でその辺が描かれてて、ヤクザ×中学生(未成年)って結構三次元に起こしたらアウト寄りになってしまうんじゃないかとずっと懸念してたんですけど、それをなるべく避けようとせん撮り方にしてたんじゃないかなと思いました。あとは綾野剛氏の上手さ……。

・空港のラストシーンどうするんだろう?と思ってたら再開発!あの辺りの再開発ブームに則って納得感あったし、あと数年してファミレス行こ!の下巻が出る頃にはファミレス行こ!を映画化してもらいたいとひしひしと思いました。斎藤くんもその頃すごいいい感じに成長してると思うしどうですか(迷惑なオタク)

・最後に見た野木脚本映画が「罪の声」だったので、綾野剛も途中で関西弁話すの諦めるかなと思ったらちゃんと最後まで話しててホッとしました。(……)

 

2024年映画初めとしてすごい良いスタートを切れた感があるな〜。シナブとビジュブが届いたらまた色々書き連ねるかもしれません!