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ゴジラ-1.0 感想 〜それを許しちゃいけないよ〜

ゴジラ-1.0を見てきました!

北米でも公開が始まって高評価みたいですね。TLでもちらほら感想をお見かけしていて、面白かった〜って聞いていたのでまあ面白いんだろうなぁ!らんまんコンビだなぁ!くらいのノリで観に行きました。

 

確かに面白かった。

ゴジラ映画の良さって「圧倒的なものへの抗えなさ」だと思っていて、このマイナスワンでもそれがちゃんと書かれてたのがよかった。なんというか、絶対こんなん無理やん、ってちょっと笑っちゃう感じの。初代、ビオランテキングギドラ、KoMシリーズ、ギャレゴジ、シンゴジ等ある中でやっぱ圧倒的に怖いゴジラだったな〜と。大戸島の初期ゴジラはギャレゴジっぽくて、お????となったけど。笑(わたしはギャレゴジ好きだよ。ニューヨークを暴れ散らかすB級パニック映画として最高。卵から生まれるのもウケる。)

人間ドラマも美しくて、サバイバーズギルドへの克服、生き残って「しまった」ことへの許し、スクラップ&ビルドの中でまたぶっ壊される絶望感、そういうのがひしひしと伝わってきて最後はハッピーエンドでよかったなぁ〜と。役者さんたちも上手い人ばっかりでキャスティングにノイズがなかった。(が、一方でこの人ってこういう感じの役やりそう〜!みたいなのが強くて、ギャップに弱い私にはちょっと物足りなかったかもしれない)

でもどうしても納得できないのが、そのカタルシスを得るための手腕が「民間の手による民間による民間のための」方法だったってことなんですよね。

 

いや、国なんとかしろよ。

 

アメリカが介入できない(しない)のはわかる。

でも日本、あんな未曾有の被害受けててそれでええんか?!?!!?!

思いっきり「民間の有志」って言ってましたけど?!!?!

そんでみんなもそれでいいんだ?!!?!

見放されたことに対してキレないんだ?!!?!

国がやってくれないから俺らがやるっきゃねぇ!えいえいおー!みたいなシーンあったじゃないですか、あそこで、エ????マジ????ってなりましたよね。

どうしても納得できず鑑賞後即ネットサーフィンしたんですけどあんまりそこをつっこんでる人も少なくて、wikiを読んだら「コロナ禍での生活をベースに、市民がなんとかするしかないということを感じたのも影響を与えている」みたいな文章があって、エ?!?マジ?!?(二回目)ってなりましたよね。

細かい部分の比較は避けたいのですが、シンゴジラが国の叡智を掲げた総力戦での排除であるなら、マイナスワンは真逆です。民間の、民間による有志の戦い。

戦後すぐの混乱期なら仕方ないよねっ!ってなるのはわかるんですけど、なんというか民草を犠牲にして大失敗した後に、それらが立ち直るのは自助努力でどうにかせえ!って言われてるようなね、そんな気持ちになって、昨今の政治情勢や毎日Twitterで見知らぬ誰かがドンパチやってるお気持ち炎上トピックを思い出して薄暗い気持ちになってしまいました。

朝ドラに紐づいて話をすると、つい最近ブギヴギの花湯の存続のシーンが「あまりにファンタジー」で、でもそのフィクション性が物語を物語たらしめるんだよなぁと思っていたんですよ。その文法をこの映画に当てはめると、やっぱりフィクションでもファンタジーでもいいから、未曾有の困難を救うのは市井の人でもいいけど、自助努力だけでハッピイエンド⭐️にしなくても良かったんじゃないかなって。私は少なくともそうであって欲しかったのかも,と思いました。

救いのある話のように見えて、何の救いもない話なんじゃないかな、と思ってしまったのでした。まぁその気持ちに対するメッセージが最後の典子の皮膚反応であり、深海で目を覚ますゴジラの細胞なのかもしれないね。国、これからちゃんとしろ!っていうね。

 

ということで手放しでこの映画を大絶賛したら、これからの未来においてダメなのでは?!?!と思った、という話でした。戦争って絶対ダメだし、最悪だし、っていうかゴジラだって本来はいてはいけない存在なんですよ。でもなんかまるで「ゴジラいて良かったの……かも?戦争のやり残しをやり終えたから次に生きていけるのかも」みたいに捉えかねられんよな〜と思いました。

 

強い政治思想を持った人間のような感想になってしまったな……まあなんだかんだ楽しく見たので良しとします。一番良かったのは楽しそうな佐々木蔵之介です。ずっと一人で楽しそうなおじさんだったからよかったです。(……)